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2011年5月17日 (火)

【もおすけ日記】2011・新表銀座縦走・7 

登る人も、登らない人も。

何故か私の周りは山ネタでいっぱい♪の、もおすけです。

皆様こんにちにゃ。

まず。

志賀高原のバイト先で知り合ったヒメちゃんは、登山家の栗城さんの講演に行き、

山にかなり興味深々。

で、今日電話した生命保険のTクン。

引き落としの口座変更を頼みたく電話したら、

T:『先日、登山家の栗城さんの関西講演に行って来たんですよー。

  そしたらもおすけさん、どうしてるかなぁって思ってたとこでした。』

って。

で、その次に山小屋に入る前に、大嫌いな歯医者さんも好きになるほどいい先生だった

O歯科にTEL。

なんと先生は引退されていらしゃったのですが、

O:『昨年、初めて富士山に登ってねぇ。。。』

と、これまた偶然、山ネタに。

も:『先生、三俣山荘で待ってますから!』

と、無謀なリクエストをしておきましたが、先生せっかくですから六甲山ハイクは続けてくださいね。

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そして今週は、懐かしのエミちゃんとそのまた友人と六甲山。

週末も、懐石料理屋さんの宮リンと友達と、その妹さんも一緒に六甲山へ。

嗚呼、山の予定で日々が埋まるこのシアワセ♪

山に登る人も、そうでない人も。

『何かあるのかもしれない。』

そう思って、山に登ってみませんか?

私達クライマーが、惹きつけられて止まない魅力を知ることができるでしょう。

そんな山の伝道人・もおすけが贈る、新表銀座縦走の報告・第7弾です。

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2011年 4月 30日

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この日は朝4:30分に起きる。

外でビュウビュウと風が唸っているのが、小屋の中にいても聞こえてくる。

昨日、一番乗りだったお兄さんは全ての行動が早い!

AM5:00にはさっさと片づけをして、出て行かれた。

今日のうちに蝶ヶ岳から上高地に降りると言う。

昨日一番最後だったお兄さんは、常念小屋から一の沢に降りるという。

そして私達。

ご飯とお味噌汁で朝食を済ませ、身支度をして出発。

朝は、今日もお天気はいい。(昨日も“朝は”、天気が良かった。)

槍ヶ岳も綺麗に見えました。

110429_46

                 冬期入口と書かれた非難小屋と、槍ヶ岳ともおすけの影

強風でも、朝の景色は綺麗だ。

110430_7                         風が強くて雪がつかず、凍って光る。

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110429_45                              ほんのりとピンクに染まる槍ヶ岳。

あ!見えた!

大きなカールの中にある、豆粒のような黒い点。

そう、あれが涸沢ヒュッテさんです。

110429_47_2                        豆粒ヒュッテさん。

昨日の灯りは、やっぱりヒュッテさんだったのかぁ。

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とここで、いきなり写風が変わりますが。

昨日の冬季非難小屋入り口を、こじ開けた後。

この日殆どカメラを出さなかったリンちゃんが、カメラを取り出しました。

リ:『非難小屋記念ってことで、撮っときましょう。』

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セルフタイマーで三人一緒に写す。

寒いから、その後すぐ小屋に入る。

そして夜、初めて写真を見て爆笑。

カメラを置いた台のところにピントが合って、私達はボケボケ。

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さ:『なんかオレら、すっごく安いオモチャのフィギアみたい。』

も:『ほんと、昔のお菓子のおまけについてそうな、ちゃちぃやつ。』

り:『ぅわ、オレちゃちーぃ。』

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色鮮やかなリンちゃんなんて、まさにフィギアだ。

110429_44_2                     キャラメルのおまけに、もれなく付いてるよ。

何度見ても笑える。

この、いつも何かがおかしい山行こそが頑張れる源なのかも知れない(そんなの うちらだけ?)

そして今朝はこの同じ場所で、絶景を撮る。

槍をパノラマモードで撮影する、さぶちゃん。

時間かけて撮ってるもんだから、『リンちゃん、入ろ入ろ。』と言って、勝手にカメラに入る私。

さぶちゃんの力作。『朝日に輝く 槍ヶ岳と もおすけとりんちゃん』。

110430_5_2                      槍をバックに 勝手にイェ~イ☆

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さ:『あーーーーーッ槍ヶ岳のパノラマを山だけで撮りたかったのにーーー 』

も:『お!いいじゃんいいじゃん。 よく撮れてる♪』

さ:『“よく撮れてる♪”じゃないよっ もーーー!風景だけで撮りたかったのにぃ!

   しかもなんか、かっこよく納まってんのが ムカツクッ!』

も:『ならプリントアウトした時に、私達の端っこだけ切っちゃえばいいじゃん。さ、いこいこ。』

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勝手三昧な私は、ひつじ(執事)さぶちゃんに暴言吐きまくりで出発を促す。

それにしても風が強い。

ここ表銀座にいても、向こうの山の風で舞い上がる雪煙が見えるほどだ。

110430_11                         向こうもこっちと同じくらい強いのね。

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110430_8                  むこうもこっちも、めっちゃ流れてます~。

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よぉく見ると、北穂高岳の山頂付近に、細長い小さな“刻みのり”の様な黒いものが。

北穂山荘さんです。

110430_10_2                           お海苔じゃないよ、北穂だよ。

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山のこちら側から、あちら側の山小屋が見えるのって、すごい。と、いつも思います。

『こんな厳しい大自然の中に、しかもあんなに高い所に人間が建てたんだぁ。』と思うと、

それだけで感動しますし、この雄大な大自然の中のほんの小さな山小屋が

どれだけの多くの登山客を癒し、救ってきたことか。

初めてこんな所に山小屋を建てようと考えた人ってすごいなぁ・・・って、

今更ながらそう思います。

(あ、日本で一番最初の山小屋は、白馬山荘さんでした。やっぱりこれも縁かしら。)

今年も こんな高い所で働ける自分をシアワセに思いながら、出発です。

110430_12            こうしてみると、涸沢も高い所にあるんだなぁ。

あ。

かわいそうだから、ひつじさんも撮ってあげました(パノラマじゃないけど)。

110430_6                                槍ヶ岳と、ひつじとリンちゃん。

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110430_13                    この景色、ココロに納めておこっと。

一見、静かに感じるこの写真ですが、さぶちゃんのザックの紐で風の強さがわかるというもの。

でもまた来るからね、大天荘さん。

110430_9

そして本日も強風の中、歩いていくうちに あっという間に空の色は重くなってきました。

110430_14                     ガチャピンクライマー、それでも頑張る。

風が更に強くなって。

110430_14m_2                       ガチャピン、頑張る。  『風きっつー。』

昨日よりも更に風がきつい。

強風でなく暴風、恐らく風速16~18mはあった。

後ろのリンちゃんが撮ってくれた写真。

110430_15                               ここは南極大陸か?                      

またもや険しい景色となってまいりました。

穂高連峰を右手前方に眺めながら、強風の中、進みます。

110430_16_3            風さえなければ、眺めながら歩けますが実際はそんな余裕なし!

手前に見える斜面が、大きな滑り台の様にも見える(絶対滑りたくないけど)。

そして進んでいくと、右手奥に常念岳が見える。

手前の細く見える、夏道を歩いていく。

110430_17_2

ところが、ここからがすごかった。

大天井岳から常念小屋までは、本来なら緩やかな夏道を景色を堪能しながら歩く

パラダイスコースだ。

でも、こんな緩やかな斜面なのに、一歩も進むことが出来ない。

うねる様に吹き付ける風が油断できなくて、ちょっと風が弱まっても

迂闊に足を一歩前に出すことさえできない程だった。

110430_18                      暴風に次ぐ暴風。 豆粒リンちゃん。

ここらへんで、常念小屋からの登山客とすれ違う。

どちらからの登山者も、この斜面は雪の状態と風の強さを選んで、夏道より上を歩いていた。

ここ数日の強風の跡が、雪面を見てもわかる。

110430_19

.

そんな中、緩やかなコルで、一瞬風が弱まった。

でもそうは言ってもコルだから、両側の山の斜面に当たった風が行き場を求め、

低いこのコルに流れ集まって、吹き抜けていく。

慎重にすすもうとする、先頭のさぶちゃん。

幸い険しい道ではないから、風が弱まった一瞬をついて渡りきろうとする私。

も:『さぶちゃん、さっさと行っちゃお!』

.

慎重に進もうとするさぶちゃんを、後ろからせかす。

でもって暴風の中、待機姿勢をとって休んでいる時、私はピッケルを使わずに

直立姿勢で休んでいたら、

.

.

・・・なんと吹っ飛ばされました。

一瞬にして、後ろにいた(コルで追い抜いたせっかちの私)さぶちゃんの真横まで

吹き飛ばされていました。 

瞬間移動だ。びっくりだ。

そんなすっ飛んできた私の腕をさぶちゃんはそのまま掴み、ラグビーのタックルよろしく

体ごと地面につっ伏しました。(もちろん私も うつ伏せ状態)

.

さ:『しろぷー、二足直立禁止ッ!ちゃんとピッケル刺して待機姿勢しな!!』

.

って。

・・・ファ~イ

いえね、基本断崖じゃなくって、転んでも死なない場所ならそんなにコワくないし、

でもって、“後にさぶちゃんがいるからいっかー”的な 適当感もありまして。

思いっきり気を抜いて休んでおりました。 オホホ。

(だぁって、それまで一瞬の気を休ませる暇もないほどの強風だったから。)

ですが皆サン、暴風の中ではきちんとピッケル刺して 待機姿勢をとりましょう。

山の上では、吹っ飛ばされます。本当です。

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一番すごかった時は。

全員で両手、両足、両膝をついて風に耐えた時。

そう、這いつくばり状態です。

いつまで経っても風が止まない。

これだけの這いつくばる様な姿勢をとっても、30cmさえ前に進むことが出来ない。

天気がよければ5分で歩けるこの道も、全く進めず20分近くかかった。

今日の風で、昨日の大天井岳の直登コースを登っていたら。

そう考えると、今日のこの緩斜面で本当に良かったと思う。

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出発してから2時間半が経過。

風は強まる一方だし、景色も変わらない。

なんだかやられっ放しのこの暴風に、いい加減腹立たしさや笑いがこみ上げてくる。

あまりの強風に阻まれっぱなしで、もちろんこの風だから真剣だけど“待機”にも飽きてくる。

『いつになったら、少しはマシになるんだよーぅ。』

そんな気分にもなってくると言うものだ。

で、あまりの爆風にカメラを取り出したワタシ。

右膝を着き、ピッケルを刺し、左手で撮る。

110430_20                          流されるピッケルコード。

この写真を撮っていたら、さぶちゃんが『写真なんか撮ってるよッ!』と、

リンちゃんの方に振り向く。

そしたらリンちゃん、

110430_21                           ・・・僕も撮ってました。

.

またもや さぶちゃんのザックの紐からもわかる様に、ここは爆風。

でも、この急斜でもこんなことしたくなる位、この強風に飽き飽きしていたのです。

と言うよりも、今思えばずっと張り詰め続けている緊張感から

少しだけ笑って、気持ちを休ませたかったのかもしれません。

.

そんなこんなで全く風が弱まる気配のない中、斜面にしがみつくようにして正に牛歩で進み、

ようやく景色が変わりました。

110430_22                       谷間に見えるが常念小屋。

2010年秋の縦走では、ここは霧の中だったので小屋の前に行くまで小屋の姿は見えませんでした。

だから、この高さから常念小屋が見えることは すごくうれしいことでした。

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ここから高度が下がる毎に、風も弱まっていきます。

常念小屋まであと少しです。

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コメント

Linさんへ

本当にすごい風でした。
恐らく突風のときは、最大瞬間風速は20mくらいあったのではないかと思います。
とにかく高山ではいろんな経験が出来るから、楽しいです。
どんなシチュエーションでも、楽しいです。

みさわさんへ

いや、仰るとおり、雨もあられもありました。
下界での台風などを含めても、人生で最高に強い風に煽られた日でした。
ほんとうに、このコースの日でよかったです。

風…ともかく滑落に繋がらずに何よりでしたね、危ない危ない…

タイミング的に雨、みぞれには遭遇しなかったんですね。
今回北アルプスで亡くなった方は雨、みぞれ、強風による低体温症で行動不能に陥ったとの事。
いやはや、本当に無事で何よりですよ(;´Д`)


稜線の風速は20m以上吹き巻くって居た事でしょう。
大天井岳→東大天井岳→横通岳→常念乗越、吹き捲られお疲れさま。
強風下での山行、貴重な体験です、
雨、みぞれ等にならず、幸運でしたね〃春山は4シーズンの気候に遭遇する
から、運、不運は当たり前、
今年は下界でも、偏西風が強く吹く日が多いから、岳は更に凄い事でしょう。

 岳の画像楽しませてくれ、感謝致しております。

 目下、公僕の身では、下界から、眺めているのが、精一杯

 15日、常念岳の雪形 “常念防”が見え出しました・・・松本から

暴風に吹っ飛ばされたって…。
しっかり待機姿勢とらなあかんで!
まあ、私も暴風の中うろついて怒られた事あるけど

あと非難小屋じゃなくて、避難小屋やで~

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