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2011年5月16日 (月)

【もおすけ日記】2011 GW新表銀座縦走・6

そんなわけでワタクシが、実家に帰ってカンヅメのもおすけです。

皆様こんにちにゃ。

山(長野)にいる時は、山登り含め毎日のように外に出ていたのですが

家に帰ると引きこもり状態で、こうして毎日ブログを書く日々。

ここには登れるような山がないんだよなぁ(六甲山まで電車で1.5時間)。

かくなる上は、山道具の手入れ&お買い物(補充含め)、持ち物の整理整頓。

更に荷物を減らして、身軽になろうと画策する日々でございます。

そんな引きこもりもおすけの、表銀座縦走・第6弾です。

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2011年 4月29日

朝いちの天気はこんなだったのに

110429_

                                                                ヒャッホゥ。最高。

山頂に着いた頃には、この天気よ。

110429_40_2                          激しすぎるぞ、オテンショ岳。

.大天井(おてんしょ)岳に着いてから、相変わらずの暴風の中、大天荘へと向かう。

緩やかな稜線を下って、冬季非難小屋に着いた。

そこにはさっきのソロで登っていたお兄さんが既に到着していて、

入り口の扉を開けようとしていた。

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そう。

おそらく20分は早く着いたであろうお兄さんは、扉が開かず、

一人扉が見えるところまで雪を掘り下げ、奮闘努力していたのだ。

110429_41                        掻き出す掻き出す掻き出す。

写真を見るだけで、思い出される。 なんて寒々しい風景なんだ。

(雪なんか真横に降っているもんねー。これは果たして“降る”と言うのだろうか。)

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『手伝いますよ。』と言うことでさぶちゃん、りんちゃん、そして私も

代わる代わる扉の前の雪を掻き出す。

でも、そんなに重くないであろう薄い鉄の扉なのに、微動だにしない。

扉を挟んでいる両脇のレールと下面が凍り付いているのだろう。

まずは、扉の全容が見えるところまで掘り下げて。

続いて、雪が挟まっていると見られる両脇、下の隙間の雪(氷)を掻きだして。

扉を叩いて振動を与え、、引き上げる。

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ビクともしてくれない。

そしてここは、稜線上の寒さ。

遮るもののない山頂付近のここは、猛烈な勢いで風が雪が流れていく。

体温が一気に奪われていくので、暴風の中、急いでダウンジャケットを下に着込む。

四人がかりで交代しながら、扉を動かそうとするも。

全く反応なし。

では、小屋の横の小さな窓は?

こちらには外側から板がはめ込まれている(雨戸のようなもの)。

こちらを外そうとするも、こっちもダメ。

自分が作業していないと、寒くてどんどん凍えてくる。

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も:(これ、開く時 来るのかな・・・。)

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ちょっとそう思った。

もし、開かなかった場合。

この強風ではテントは無理だろう。

小屋の傍に風をよける様に張ったとしても、テントを叩く風の音がすごくて眠れたものじゃないだろう。

かれこれ30分は経っただろうか。

力持ちの男手を持ってしても、ビクともしない鉄の扉。

110429_43                            強情さ満載のこの風体。

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も:『バーナーで周りの雪を溶かしたら?』

さ:『やってみようか。』

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そこでバーナーを取り出し、扉の両脇・下を温める作戦に移る。

それと同時に、私は雪洞が掘れる場所を探す。

これだけの風ならば、雪洞の方がずっと温かく静かなことは経験済み。

雪洞の中は、雪の温度以下にはならない。

つまりどんなに外が寒くても、-5℃前後なのだ。

 ※ちなみに雪洞の作り方について知りたい方はこちら→ 雪洞の作り方

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上の雪はそこそこ固く、掘る場所は柔らかい所。

山の斜面ではないから、そんな場所を探すことの方が困難。

まずは、掘れそうな柔らかい場所を探す。

でも、どんなに寒くても さすが春山。

積もった中でも、天気のいい日に解けたであろう 解けて凍った氷の層が所々にあり

がっちり硬く、掘り進めることが出来ない。

これでは4人分の雪洞は、私には無理だな・・・。

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二人が小屋の入り口の屋根下にテント(ここは風除けが出来る)。

男子様の力を借りて、雪洞を掘って ここに二人。

雪が締まっていないここでは、テントの周りに雪壁を作るよりその方が効率的に思えた。

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雪洞掘りを一旦諦め、非難小屋に戻ると。

さ:『少しだけ、動くようになったよ。』

と、教えてくれた。

隙間さえ見せてくれない扉だったが、引き上げようとするとほんの数ミリガタガタと音を立て

動いてくれた。

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も:『・・・これってさ、もう雪(氷)で動かないんじゃなくて、両脇のレールが雪で押されて

  きつくなって動かないんじゃないかな。両脇のレールを、外側に広げたら??』

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雪の重さで家がたわみ、扉や障子などが動かなくなるとはよく聞く話だ。

ピッケルはここで、バールと化す。

これまで大切に扱ってきた山道具だが、もうこの寒さでニンゲンとしての判断が

ちょっと壊れかける。

もうなんだっていい、早く小屋に入れてくれー。

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バール、じゃなかった(←本気で書き間違えた)ピッケルを、僅かなレールの隙間に差し込み、

足でピッケルを蹴って、深く入れ込んでレールを外側に押しやる。

そんな作業を繰り替えしていたら、扉は更に動いてくれた。

も:『あ!これで両側広げたら、開きそう!!』

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そんな時だった。

リンちゃんが大声で叫んだ。

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リ:『窓、開いたよー!』

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うそ!?

ほんとに??

すっ飛んで私が走る。

小屋の上部にある、小さな窓は綺麗に開いていた。

も:『すごいすごいッ!これなら私なら通れるかも!!』

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男性には厳しかったと思うが、女性の体ならなんとか通れる。

そう思うが先か動くのが先か、私はもう足から滑り込んでいた。

中にあったベンチに足先を付け、飛び降りる。

扉の内側には、隙間から1m近くの粉雪が積もっていた。

以前ここを使った人が、出入りした時に入り込んだ雪もあっただろうが

その上に積もった雪は、サラサラで綺麗な山型を成していたから

やはり長い時間をかけて、僅かな隙間から入り込んでいたのだろう。

も:(この小屋って、私達の前はいつ誰が使ったんだろう・・・。)

そんな事を瞬間的に思ったその時、外側から少しだけ扉が引き上げられた。

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さ:『動いたッ!開くよ!』。

も:『さぶちゃん、こっちにピッケル貸して!』

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5センチほど開けられた隙間から、ピッケルを滑らせ 内側からも雪と氷を掻き出す。

さ:『やった!開いた!』

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お兄さんが掘り始めた時間を入れたら、かれこれ1時間はかかった。

全員が小屋の中に入れた時、やったー!お疲れ様でした!と

名も知らぬお兄さんとも、互いに握手をし合った。

ちなみにこのお兄さん。

丁度去年のGWにも、このルートでここに泊まったそうだが、

兄:『去年より雪が多くて、今年の方がずっと大変。』

だったそうな。

去年も一人でここの扉を開けたそうだが、去年は開けるのにここまで大変じゃなかったと言う。

お互い一緒でよかったですね、と言い合っていると、またソロのお兄さんが一人到着。

この人は、これまでの苦行を何一つ知らないので至ってクールに入ってきた。

間違いなく、この彼が今日一番のラッキー者だろう。

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私達三人が二階へ上がり、お兄さん二人は下の階。

昨日は一日食欲がなかった私でしたが、ここにきて流石にお腹が空いてきた。

夕方15:30にして、夕食の準備に取り掛かる。

110429_42                     私達三人だけが思う。『なんて温かい風景なんだ。』

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夕食の山ラー(山で食べるラーメンのこと)には、生姜・わかめ・ネギ・豚肉に卵を落として。

冬山のいいところは、生食材を持って登っても傷まない事。これに尽きる。

ラーメンを食べ、おじさん(りくろーおじさんのチーズケーキ)を食べ、ロールケーキも食べ。

熱いコーヒーを飲み、“屋根と壁があるシアワセ”を噛みしめる。

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テントを担いで山登りをしてて思うことだが、

も:『屋根と壁さえあれば、どこででも生活って出来るな。』

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風雪や雨には、どうしてもテントだと動きが鈍ってしまうけれど

屋根と壁がある箱(家)なら、あとは山道具だけでも十分に生きていける。

実際、山のぼらーの知人男性は、

K:『オレ、うちでもバーナーで調理してる。』

と言っていた。

彼曰く『だって、お膳の横で作って、出来たらその場で食べられるから。』だそうだ。

使い残しのガスは、家でこうして使っているのだそうだ。 なるほど。

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ますます、“どこででも生きていけるかも~♪”感を強くして(!?)、温かいシュラフにくるまる。

寝る前にトイレに外に出た時、向かいの山の中腹にすごく温かいオレンジ色の灯が見えた。

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も:(あれって、涸沢ヒュッテかな・・・。)

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灯りって、実際の温度だけじゃなく、目に映るその色だけでも暖かい。

街灯も何もない山のてっぺんで、遠くに見えるたった一つの灯りを眺めながら

再びシュラフにもぐる為、足早に小屋に戻ったのでした。

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■□■□■□

ちなみにこの私達の苦行を心配しながら下山してくださっていたみさわさんご夫妻。

その模様が、綺麗な写真とともにこちらでUPされています。

(豆粒もおすけとさぶちゃんも、写っております)

みさわさんのブログ→ http://misawa7.exblog.jp/15972046/

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他人様のブログに自分が載ってるのって、なんだか不思議な気分だぁ☆

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.山登り」カテゴリの記事

コメント

まこっちんへ

ほんと、小屋を目の前にして入れない辛さって切なすぎますもんね。
風のない小屋に入れた時、飛び上がるほどうれしかったです。
そして空気層がないと、人は凍傷になるんですね。
勉強になりました。

みさわさんへ

そう、掘り起こすのは簡単だったんです。雪も柔らかいし。
問題は扉の凍結。雪の重さでのゆがみ。
そういえば、白馬山荘の小屋締めの時も、窓の周りを全部ガムテープで目絵張りしてました。表に板で覆っても、風で雪が吹き込んでくるとか。
私もこの作業、あの寒さと強風の中一人でしていたら絶対泣いてました。
その位、寒くて不安な心細い作業でした。


僕のブログ友の方が3月に常念縦走しているのですが、その際大天井の冬期小屋通ったときには 『まぁ10分くらいで掘り起こせるかな』 とコメントしておりました。
良く考えれば、掘り起こせても必ずしも扉が容易に開くとは限りませんもんね(;´Д`)
これ吹雪ん中1人でこの状態だったら軽くパニックでしょうね…
この場にいれば穴掘りお手伝いできたんですが(仕事で穴掘りしてましたんでw)
翌日の行程どうなったのか気になりますねぇ、楽しみにしてます♪

無事小屋に入れてよかったね。
強風の中ではとてもテント張れないから、最悪ぺったんこのテント内でビーバークするとこやったね。
私も強風の中岩場でテントが張れずぺったんこのテント内で一晩過ごしたけど軽い凍傷になりました。

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