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2012年3月29日 (木)

【もおすけ日記】五竜で避難沙汰

神様は
   何を思って
       書かせるか。

皆様おひさ、もおすけでございます。

皆様お察しの通り、遊ぶのに忙しくってブログ更新さぼりまくり。

も:『あーー、もうこのまま辞めちゃおっかなー。』

と、いつものように(かなり本気で)思っていたら。
今日はお店に来たお客様に、

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『ブログ、見つけちゃいましたよ~。』

と。
何でもそのお客様は、山小屋バイトを検索していたら、このブログにたどり着いたとか。
そしてつい先日には、友人の慎から、

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慎:『オレより会社の後輩の方が、マメにブログチェックしてるぞ。』

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と、これまた嬉しいご報告が。
こんな事言われちゃあ、またまた辞められなくなるじゃあないですか。

神様は、どうしても私にブログを書かせたいらしい。

書き続けたその先に、何があるのか。
             
未知の世界に乞うご期待、である(いつも自分のじんせに大きく期待)。

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2012年 2月21日(曇り)

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朝食を取って、のんびり珈琲タイム。

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り:『すごいなぁ、道にあんなに雪が積もってる。』

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甥っ子・リクにとっては、周囲に雪が積もってるだけで限りなく新鮮な景色なのだ。
初めての雪国の風景。
私も初めて来た時には、この景色を見ているだけで幸福だったなぁ。
素直に感動しているリクを見て、こっちも嬉しくなってしまう。

そして、今日もいざゲレンデへ。

昨日は、14時過ぎにはゴンドラ上のリフトが止まってしまったので
今日は早めに、上に行こうということで二本滑ってゴンドラで上へ。

上はやっぱり雪質が違う。
そしてボーダーも少ないので、滑りやすい。

120322_                            よぉ~し、今日も滑るぞ。


と、喜んでその上のリフトに乗ると。
途端に風が強くなってきて、徐行運転。
二~三本滑ったら、レストハウスでお昼にして下に降りよう、などと思ったのだが。

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リフトを降りた時には、もう既に強風だった。

も:『リク、早めに降りよう。』

と言うも、まともに滑れないほどの強風。
そして、二割も滑っていないかと言った所で、風は既に猛烈な爆風に変わっていた。

ゲレンデの滑走面を、地吹雪のカーテンが如く恐ろしい白煙を一面に立てて
風が向かってくる。

待機姿勢で身構えていても、スキー板なので滑り落ちていく。
当然、声など聞こえるはずもなく、リクが見えるところまで戻ると彼は座り込んでいた。

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も:『急いで降りよう、もっと強くなるから。』

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そうは言っても、初心者の彼にこの爆風の中を滑り降りる勇気と技術はない。
転んだブーツと手袋の中に雪が入って、寒いらしく声にならない声を上げていた。

爆風の中、手袋を交換して、私がストックを引っ張って二人で滑り降りる。
右手にリフトがずっと見えているとはいえ、風の恐怖ったらない。
リフト小屋が近くなると、リクに言い聞かせ先に下りて大声を掛け人を呼ぶ。

でも、誰もいない。
この強風で、スタッフも先に下りたのか?

仕方なく、板を外して再び駆け上る。
座りながら降りているリクを引っ張るようにして、斜面を降りる。
肩を貸して、リフト小屋に入る。
ブーツを脱がせ、体に付いた雪を落とし、とにかくタオルで拭く。
先日自分がなってしまった凍傷になったら、後が大変だ。

私たちが降りているゲレンデの端に、もう二人組が同じく苦戦していたので

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も:『降りるの手伝いに行ってくるから、ここで待ってて。』

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と言い残し、再び爆風の中の外に出る。

でも、その二人組の姿はもうなかった。
さっきまで、あそこに座り込んでいたのに。
コースアウトした?

辺りを見回すと、反対側のリフトの近くに人を発見!
大声を出して、両手を振る。
近寄ってくる気配がないので、強風に耐えながら歩く。

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も:『この強風で降りられないので、あっちのリフト小屋に避難します。もう一人いるんです!』

ス:『中に入っていて下さい!内線を、こっちから掛けますから!』

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ゲレンデのスタッフのお兄さんと最小限の言葉を交わし、小屋に戻る。

するとすぐ内線が。
先ほどの二人の事を告げると、お兄さんも姿を見て外に出たのだが、下に降りていったのだという。
この強風なのに、心配。

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ス:『今、この急な爆風でリフト上に取り残された人の救助を優先しているので、そこで待機しててください。』

乗車を止める前に、あまりに早く強風が襲ってきたので人が取り残されてしまったらしい。
この風は、去年のGWで常念岳に向かった時に突風で私が吹っ飛ばされた時と同じ位だな、と思っていると
暫くしてお兄さんがやって来てくれた。

ストーブをつけてくれて、インスタント珈琲をご馳走してくれた。

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ス:『今、この風で風速40mを越えてるよ。』

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小屋の中の風速計を見ると、針は時折風速45mを振り切っていた。

なんて風なんだ。
そして、なんて早く天候が変わるのだろう。
この風の中で登山だったら、もっと心細くて下手したら事故に繋がっていただろう。
避難できる場所が遠かったら、かなり危険だろうな、等と思いながら外を見ていた。
初めてのスキーで、ここまでの強風&悪天候を一気に目の当たりにしてしまった甥っ子は
相当な恐怖心だったことだろう。

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小屋で待つこと三時間。

強風は一向に緩む気配がないが、それでも少しづつ爆風と爆風の間隔が伸びている。
そこを突いて、雪上車が一気に上がってきた。

ス:『この風なので、雪上車が救助に来ます。それに乗ってまずはゴンドラ駅に行ってもらいます。』

ゴンドラ駅のレストハウスには、同じ様に避難&足止めをくらった人達が40人ほどいると言う。
そこから強風の隙間をついて、雪上車で下まで順番にピストンで搬送して降ろしていくと言うのだ。

ようやく降りれると聞いて、喜ぶ私。

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も:『りくりく~、大変な思いしたけどさ、雪上車なんてそう滅多に乗れるもんじゃないよ♪』

り:『そうやけど。これ、初めてスキーする人が経験するレベルじゃないって。』

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ええ、全くその通り。
ごめんよ、りく。

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も:『そうだけどさー、でもこれで今後 大概の山登りで大変な目に遭っても“あの時に比べたら!”って思えるじゃん。』

り:『そうかも知れんけど。それはずっと先に思うことであって、今はとてもそぅ思えへんわ。』

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私の甥っ子なのに、言うことがいちいち最もである。
あ、私の甥っ子と言うよりも、あの魔王の姉の子だった。忘れてた。

強風の灰色の景色の中、雪上車が物々しい音を立ててやってくる。

120322_1                     ぐおーー、ぐがーーーッと雪上車登場。


ナウシカの戦車みたいだ、と思った。

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ス:『雪上車に乗れるなんて、かなり貴重な経験だよ。』

明るく言うスタッフのおじさんの陽気さで、登山の緊急事態の危険度とは違うことを感じる。

なので素直に陽気に喜ぶワタシ。

とリクとで、雪上車に乗せて頂く。

120322_2                      ヘリ上山・へリ下山に続き、今度は雪上車。

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相変らずの爆風の中でも、さすがは雪上車、グオングオンと鈍い音を立てて急斜面を登っていく。

ス:『すごいね、どっかの煙突が飛んできてるよ。』

おじさんに言われて雪面を見ると、この五竜のケルンに近い標高に、何処から飛んできたのか
金属の煙突が転がっていた。

ス:『ほら、リフトの椅子があんな事に。』

指差す方を見ると、ペアリフトの椅子がロープの上にひっくり返って乗っかっていた。
これでどこかに人が乗っていたら、大惨事だとおじさんも言っていた。

ス:『バクダンだね。』

昨日、気象衛星図と天気図を見たのだが、ここまでの爆風になるとは予想できなかった。
でも、急激に低気圧が発達してバクダン(低気圧)になったようだ。
もちろんゲレンデのスタッフさんも、ここまで急速に変化するとは思ってなかったようで
リフトを止めるのが遅れ、取り残された人もいたのだ。
きっと、ここ五竜に限らないだろう。

ゴンドラ駅に着いたら沢山の人がいて、レスキュースタッフさんも集まっていた。
人がいて、明るい店内。
それだけで安堵した。

お昼ご飯を取っていなかった私達。
何か食べようとしたら、待機していた人達に既におにぎりとスープが配給されていたらしく
私達も最後に残っていたおにぎりを頂くことにした。

120322_3                            午後2時半。ようやくお昼ご飯にありつける。

最初は、全員順番で47ゲレンデに雪上車で搬送と言う話でしたが、
少し風も収まりつつあると言うことで、最徐行運転でゴンドラを動かすという。
直で車を置いている とおみゲレンデに降りれると喜ぶ私と、

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り:『でもそれって、危険な状況やろ?』

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と、不安がるリク。
恐怖体験をさせてしまった名残なのか、用心深い性格なのか。

山をやるようになってから、無事に解決すれば“全てヨシ!”と、すぐに切り替えられるようになった
ご陽気なワタシと、何パーセントかでも同じ血が通っているとは思い難い。

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も:『まあまあ。雪上車&最徐行ゴンドラ両方に乗れるのは私達だけなんだからラッキーと思わなくちゃ♪』

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と、心底笑顔で言っても、彼は共感してくれませんでした(ちぇっ)。

ゴンドラ山頂駅の前には、戦車のような雪上車が4台も集まり
物々しい光景の中、搬送とゴンドラ運転再開が始まり。
ようやく下のゲレンデに着いたら、時刻は既に16時前でした。

一番下のファミリーゲレンデも、強風でリフトは全て停止していたようで
ここのゲレンデにも落ち葉や枝などが散乱していて、朝とは全く別風景になっていました。

もっと滑りたかったなー。
と、残念がるリク。

120322_4                             上に比べたら、とすっかり上達。


来シーズンは、思う存分滑ろうぞ!

120322_5                             待ってろよ信州(来年また来るぞ)。

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リフトが止まる最後まで滑り、温泉に入ってお蕎麦を食べて。

白馬からの帰り、国道沿いの電線を修理する風景を見て山頂だけでなく
下界もひどかったのだと実感。

五竜ゲレンデのスタッフの皆様、本当に御世話になりました。

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帰宅後は、二日間の運動&心労でリクもバタンQ。
でも翌日の最終日、私達はまだ遊ぶのです。

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コメント

■白馬の住人Hirokoさんへ

いえいえこちらこそお声掛け頂きありがとうございました!
いやもうびっくり&照れますねー。
でもとっても嬉しかったです。
昨日一日がうれし&楽しかったのは、私の方です。
今度はお山の上でお会いましょう♪
夏山でお会いできる日を楽しみにしています。

■さんぱちさんへ

お返事遅くなりました。
野猿公苑にいってきたのですね!
いやもうあそこはパラダイス。最高にお猿さんがかわいいですよね(一日中いられます)。

五竜はホント、大変でした。
栂池も八方も大変だった様です(同じくリフトの椅子が一回転してたとか)。

ブログは頑張って更新しますー。継続が大変だけどーーー。

今日、お店で声を掛けさせて頂いたものです。
いつも、ハラハラ・ドキドキ、スリルとサスペンス満載のこのブログ。
どぉーか、ご無事に!と願っております。

さて、お店に入ってもおすけさんの姿を探しましたが、店内の女子でそれらしき人は・・・。
この寒い季節に半袖でなにやら格闘している女子がいる。でも、華奢な体つき。
いやいや、もおすけさんはもっとガタイがいいはず・・・。
でも、声かけてみよ!「あの・・、もおすけさんは、・・。」
「ハイ!私です!」って、満面の笑顔で応えてくれました。

やっと会えたね!今日は良い日!ルンルンで白馬に帰ってきました。

お仕事中にも関わらずお相手して下さりありがとうございました。

姉さんブログ止めちゃいけませんよぉ~

五竜大変だったんですね

21日は地獄谷野猿公苑で お猿さん見てました
(子ザルが可愛かったっす)
帰りにお店寄ろうか迷ったんですが帰りました…
次回は必ず寄ります

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