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2012年5月17日 (木)

【もおすけ日記】新表銀座縦走・上高地まで駆け抜けろ!7

目指すは三蔵法師様。
広いココロのもおすけです、皆様こんばんにゃ。

今回の縦走前の打ち合わせの電話。

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も:『今回はさぁ、さぶちゃんのテント一つで行こうよ。』

さ:『はぁ?またオレのテントに寄生かよ。』

も:『ム 何が寄生よ。だって今回は全部稜線上のテン場だよ?暴風が吹いたら一発で倒れるよ。』

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振り返れば北穂。
今日は無風だ、と適当コンビの私達は適当なペグの打ち方をして、日付変更線を越えてからの
深夜の爆風にやられ、さぶちゃんテントの生地は破れ、ポールも曲がってしまった。

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そして、そのテント修理中。

滅茶苦茶さぶちゃんは我慢しきれず、11月の富士山に一人ツェルトで臨む。
当たり前だが、閉山期。
そして11月の日本一高い山頂。
またもやあっさりとツェルトは爆風にやられ(ツェルトなんだから当たり前)、その晩彼は
孤高の人が如く、ツェルト生地にくるまってやり過ごしたとか。
(そして軽く凍傷。)

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さすがの無謀男・さぶちゃんも、爆風のテントには懲りたらしい(むしろ他にも色々懲りて欲しい)。

“風が強い所のテント”にだけは慎重だ。

も:『ましてさぶちゃんのテントは2~3人用でしょ?またポール曲がるよ。』

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でも、その実 秘かな私の目論見は。

さぶちゃんのテントの心配よりも(おっと)、まずは荷物軽量化。
去年の暴風の大天井直登コースは、半端じゃなかった。
少しでも荷物は軽くして、出来るだけリスクは減らしたい。

そして、気温。
寒い日の晩なら、ソロのテントは猛烈に気温が下がる。
寒すぎて睡眠不足も、山行に響く。
これが二人のテントとなると、驚くほど温かいのだ。

さらに行動力。
ソロだと、ついペースが遅くなってしまい、片付けに時間がかかってしまう。
すなわち出発が遅くなる。

ほら、悪い事づくめだ。

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も:『今回は、なんとしても上高地まで駆け抜けたいじゃん。ね?荷物は出来るだけ減らそうよ。』

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私の目論見は内に秘め、さぶちゃんを説得させる。

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さ:『…わかったよ。でもその代わり、“ゆとり教育”だかんなっ。』

も:『はぁ?』

さ:『“テントの中に雪を入れないで”とか“砂でザラザラしてる”とか“散らかっててやだ”とか言わずに、広いココロを持って接してよ。』

も:『…(ププ)、しょうがないな、今回はゆとり教育で甘くしといてあげるよ。』

と、人様のテントに入れて頂くのに上から目線な私と、
泊めてあげるのに、下から目線のさぶちゃん。

こんな二人の新表銀座縦走・いよいよ大天井直登編です。

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なんだかんだ言いつつも、最高のお天気に恵まれ、ここまでは楽しく歩く。

やっぱり山には男性の方が絵になるねぇ。
ヨッ、さぶちゃんオトコマエ!
(と、ここで担いでおこう。)

                
120428_m                          今日、ここ歩いてるの俺達だけだね。

トレースのない道を歩く不安と爽快さ。
いよいよ今回の核心部・大天井岳の直登に取り付きます。

幸いなことに、今年は微風。
岩にしがみついても、ザックごと揺さぶられた去年とは違います。
ただ怖いのは、雪崩。
驚くほどの気温の高さで、雪が溶けることが怖い。
融雪を考えるなら、本当ならAM8時前には取り付いていたかった。
でも、蛙岩やここまでの道の雪の緩さで慎重に歩いたため、9時からの取り付きとなった。

登り始める。

やっぱり雪が緩い。

ここに来るまでで、急登なのに足が腿まではまった所があった。
ザックの重さで体が後に傾き、体を起こすのも足を抜くのも雪が崩れそうで怖いし大変だった。

も:(ここの急登であんな空洞があったら、一瞬で滑落だな。)

目の前の雪が、体重を乗せても大丈夫なのか。
踏み固められていないだけに、怖いから慎重になる。

一歩、一歩。

ゆっくりと体重移動しながら登る。

120428_14


下から見ても、8合目の所に表層が滑り落ちている箇所があった。
あそこのあたりは特に慎重にね。
クラックがあっても、下からだと見えにくいから。

途中、りんちゃんやさぶちゃんが嫌がっていた、急なトラバースも横切る。
ココ、ちょっとでもつまづいたら滑り台状態だ。

下を見ると怖くなって、余計足元がおぼつかなくなるから
目の前の雪面だけに集中する。

今回、直登を登るにあたって、“とにかく尾根筋の岩場をまっすぐに登ろう。”と二人で決めていた。
ここが一番安全なコースだと思う。
上高地側の雪面は雪崩の危険性が。
裏銀座側は、浮石が多くこちらも危険。
雪が少し付いていると、その下の状態がわかりにくく、でも影響を受けやすい。

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さ:『もう8合目辺りかな。』

も:『もうちょっと。』

少し引き目で考える私。
ゴールが近いと思うと、つい気が急いて足元が危なくなるから。

ようやくゴールが見えてきだしたのは、9合目あたりだった。
ここまでは、やはりカメラを出す余裕はない。

先を行くさぶちゃん。
あと少しです。

120428_15                        ただひたすらトレースのない雪の上。

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さ:『やったよ、着いたよ。』

さぶちゃんの声に慌てないように、慎重に最後まで登ったら。
目の前に山頂の道標と、なだらかな斜面が。

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も:『ああ着いたーー。怖かったーーー!』

でも、そこには最高の景色が待ってくれていました。

120428_17                                  2012・4・28 大天井岳登頂

山頂は無風で、まずはさぶちゃんと握手。
そして景色を堪能する。

風が強ければ、寒くて5分と立っていられない山頂も今日はご褒美デーだ。
穏やかな春の日差しは、ここ2922mの上にも降り注がれ暖かいと感じるほどだった。

よかったね、よかったね。
リンちゃんが一緒じゃなくて、本当に残念だったね。
出来れば今日も、3人で来たかったよね。

などと色々話す。

こんなにいい天気だもの。
さすがにちょっとゆっくり休憩しようよ、と大天荘へと向かう。

さぶちゃんの足取りもゴキゲンです。

                120428_18                           誰も踏んでない山頂の雪はいいよね。

何度も周りを眺めながら。
景色を満喫しながら、降りて行きます。

見て下さい、この真っ青な空と真っ白な雪を。

              120428_19                                   そしてオイラもね。


大天荘のテーブルとベンチで、軽くお昼タイム。

ああ気持いい。

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さ:『こんなにいい天気でさ、山頂にずっといても寒くないって珍しいよね。』

も:『うん、本当にご褒美だよ。去年の分まで楽しませてもらってるね。』

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楽しい楽しい、最高だ最高だと何度も言い合いながら大天井の景色を満喫。

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120428_22                     ずっとここで遊んでいたいよ、と私。

さ:『なんだよ、楽勝じゃん。』

と、今年の冬季小屋をあっさりと開けるさぶちゃん。

120428_20


ちなみに去年は、こんなに苦労しました↓

 110429_41                  小一時間、開かなかった凍てついた扉。雪は真横に飛ぶ。

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さ:『去年はこんなに小屋が現れてなかったもん。』

鉄の扉が開かなくて、この横の窓から入りました。

120428_21                    出る時は、またきちんと木戸も閉めましたョ。

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するとさぶちゃん。
今度は大天荘の雪に登って滑り台を。

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あーーー、ずるいーもおすけもやるーーー、でさぶちゃん撮ってーーー。

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この人は、もおすけの変な写真を撮らせたら日本一です。

 120428_23                     誰が撮ってくれと頼んだこんな写真。

真似っこしんぼ。
わぁーーいと滑り降りる。

120428_24


ほんとは、まだまだここでのんびりしていたいけれど、小屋には14時台には着かなくちゃ。
名残惜しいけれど、出発です。

最高のお天気と景色をありがとう、大天井岳。

120428_25


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