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2012年7月25日 (水)

【もおすけ日記】バリエーションルート・北穂東稜に挑戦・2

突然ですが、ワタクシはいい年してアルバイトです。

正社員になると、生活は安定しますがお休みが取りにくくなります。
もおすけは、山に登る為に移住をしたので今はとにかく休みが欲しい。
お給料は少なくても、山に登る時間が欲しい。

でも、いつまでも不安定な生活でもいけない。

おっと、ご挨拶を忘れていました。皆様おぱようございます、おさるのもおすけです。

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う~ん、これはどうしたものか。
信州に来て、初めてうっすら悩んだこの時(ようやく今頃)、
携帯を掴む。

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トゥルルルル、トゥルルルル、カチッ。

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も:『あ、もしもしさぶちゃん!?あのさぁ実はカクカクシカジカでさぁ…』

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と、事の顛末を話すとさぶちゃん、

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さ:『え??今頃そんなこと悩んでるの?

   俺はてっきり神戸の家を捨てた時点で、冒険的な人生を選んだと思ってたよ。』

も:『いやいや生活・心身共にフツーに安定させたいよ。

   ただそれ以上に山に登りたいから移住しただけだもん。』

さ:『なら、優先順位を決めなきゃだな。山メインの人生か、安定か。』

も:『そんなの一番にだよ。で次に安定だけど、どっちも欲しい。』

さ:『そんなに うまくはいかないだろー。』

も:『なんでよ、プロのクライマー目指すわけじゃなし。

   両方手にしてる人だって沢山いるじゃん。』

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そうだけどさぁ、とさぶちゃん。

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チッチッチッチッチッ、ピーーン!

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も:『あッ!いい事思いついた! さぶちゃん、もおすけと養子縁組して♪』

さ:『・・・それのどこがいい事なんだよ。 』

も:『だってさ、そしたら一応基盤は安定するし(老後の心配とかも減りそうだし)、

   山にも行けるもん。

   あ、養子って言っても別に養わなくてもいいからね、

   もおすけこっちで勝手に稼ぐから。』

さ:『…なんかビザが切れる直前の外国人みたいだな。』

も:『(爆)さぶちゃん、うまい事言うねぇ。』

さ:『でもそれって、一体俺に何のがあるんだ?』

も:『そんなの決まってんじゃん。“愉快で楽しい毎日”が送れるよ♪』

さ:『断る!』

も:『なんでだよ~ぅ。つまんないオトコだなぁ。』

さ:『そうじゃないだろっ。』

も:『いいじゃん別にさぶちゃんに迷惑掛ける訳じゃなし。

  ちょこっと紙にハンコ押すだけだよ。』

さ:『…なんかオレ、軽く詐欺師に遭ってるみたいだぞ。』

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無視して話を続ける。

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も:『それにさ、入籍じゃなくて“養子縁組しました~!”なら、ブログネタでもウケるよ。』

さ:『…しろぷー、人生掛けてネタ取ってていいのか?

  それにますますオレにとってのメリットが感じられない。 』

も:『そう? あ!!あるよさぶちゃん!“扶養手当”がつく!』

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ここらで、あーもういいよーーー、と匙を投げられたのは言うまでもありません。

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作戦失敗。

なので、もうしばらく不安定アルバイト生活は続きそうですが、

心おきなく山に登る為に、ココロの基盤の安定を与えて下さる素敵な殿方。

もおすけはお待ちしております。

ウフ。

で、ようやく北穂東稜・続編です。

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2012年 7月4日 快晴

4:30頃起きる。

外は快晴。布団の中からでも、そらが真っ青な事がわかる。

やたっ!

最高の天気だ!

自炊場で、いそいそモードで朝食の準備。

おにぎり・パン・お味噌汁とカフェ・オ・レを取って、出かける準備。

AM6:30.涸沢小屋出発。

最高の青空です。

120704_                           いざ出発!

今年は降雪量は普通ですが、雨が少ないので解けが遅い。なので残雪多し。

きれいだー。

120704_1


こんな天気の日は、山の中にいるだけで楽しい。そして暑い。

『ベンチレーションだ。』と言って、ズボンのすそをまくるさぶちゃん。

120704_2             『おやびん、待ってください。』 『ほら、サッサと行くぞ。』

涸沢小屋から少し上がって、振り返ると前穂の北尾根がくっきりと見えます。

120704_3                   一番左の小ピークには、いつものトトロ岩もはっきりと。

そして明日は、この稜線にチャレンジするのです。

120704_3m    一峰が前穂高山頂。5~6のコルから上がって一峰まで行き、岳沢(上高地側)に降りる。

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も:『さぶちゃんさぶちゃん、明日あそこ行くんだってよ。ほんとにあんなとこ、行き切れるのかな。』

さ:『……。』

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明らかに岩岩ゴツゴツしているぞ。

うちらの不安をよそにおやびんは『全然問題ないよ、踏み跡ついてるし。』とか言う。

そして更に急斜を登っていると、嬉しそうに突然さぶちゃん、

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さ:『しろぷー、みてみて。“究極のベンチレーション”♪』

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とか言って、ズボンの社会の窓を開けていた。

前言撤回。

こんな人との養子縁組、絶対イヤだ。

120704_5   後で気がついたが、この時もベンチレーションは開けたままだった(人として最低だ)。

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も:『…もういいオトナなんだから、いい加減にしなさい。しかも何で嬉しそうなのよ。』

さ:『だって、涼しいよー。』

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だってじゃない。

脳みそが小学生レベルである。

こんな私達を笑いながら見つつ、おやびんはサッサとおやつを食べ、ロープを出す。

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お:『ここから更に急になるから、一応ロープで繋いどくわ。』

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その一言で私達はハーネスを出し、ロープを結びつける。

さぶちゃんにとっては、初のロープ。

そして休憩終了。

再び出発。

120704_7                       よし、行くぞ。

お腹にロープをくくりつけた私達は、やっぱりイヌ状態。

バウバウ。

120704_6                おやびん、どこまでも着いて行きますぜ。

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そしていよいよアイゼンを外し、北穂の東稜・通称『ゴジラの背』に向かって

取り付いていきます。

毎度のことながら、おやびんは速いし危ないからカメラを出す機会少なし。

最後尾のさぶちゃん。

さすがに慎重です。

120704_8                さすがのオイラもベンチレーション閉めました。

ぐんぐん進む。

とにかく目の前の岩を、一つ一つ超えていくのに必死なピヨコ隊。

おやびんのカメラより。

120704_8m                   後ろの岩場を乗り越えてやってきました。


安全な岩を探して登るのに必死で、撮られてる事にも気づかぬピヨコ隊。

120704_8mm                      目の前の岩以外、見る余裕ナシ。


ようやく核心部・ゴジラの背には、まだ雪がついていた。

両側は切れている。

でもここをスタスタとノーアイゼンで行くおやびん。

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お:『この位、普通に行けるよ早く来いよ。』

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普通って。

ちょっと滑ったらひとたまりもないよ。

ロープで繋いでても、一人が落ちればもう一人も引きずられるけど

おやびん二人も引っ張れるの?

滑り落ちてぶら下がったら、そこからどうして立ち上がって登るの?こんな斜面。

アイゼンなしの夏靴は、怖かった。

へっぴり腰の私をおやびんは笑うが、笑われたっていい。

怖いもんは怖い。

写真は少ないが、それなりに緊張が続く道でした(あ、続くから少ないのか)。

ようやくゴジラの背を越えて、小休止。

ちょっとさぶちゃん、核心部の写真撮るからどいてよ。

  120704_9                          ぶぅ。オイラ邪魔扱い。

じゃあ写るんなら、カッコイイ顔してよ。

120704_10                      フンだ  やーだね、っと。

ええぃ邪魔だ どっかにどかんか、と狭い岩場でさぶをどかしてようやく念願の一枚。

120704_11 
         尖った先端から降りる時が怖かった。あとノーアイゼンの雪の上も。

伸ばしたロープを束ねるおやびん。

120704_12           せっかく面白くなってきたとこで小屋に着いちゃうんだよなぁ。

ここからもう少しで、北穂小屋。

ようやくホッとできたので、景色を再び堪能しました。

120704_13                 いやー、ほんと今日は最高の天気っすね。

120704_14                おー。南アルプスまでくっきりと見えるぞ。

そして、さぶ越しに明日挑戦する前穂北尾根を望む。

120704_15                  明日もやるぞ!(天気良ければ頑張れます)。

ここからは、さくさくと上がり来た穂小屋のテラス下に到着します。

回り込んで、無事小屋に到着。

こうして東稜は、楽しくちょっぴり怖く、無事に登り切ったのでした。

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コメント

ヤマフォトさんへ

お久しぶりです!私もブログ拝見していますよー。
そして一年前の三俣が懐かしいです。

登山ガイド、確かに楽しそうですよね。
大変なこともあるでしょうが、でもやっぱり山の中に身を置けるというのは幸せなことだと思います。
ただ、生活の糧となると、これまた大変でしょうね。

それより爪の間の麻酔、こっちの方がよっぽどハードかも!?(笑)

おひさしぶりです。

趣味と生活、誰もがぶち当たる問題ですね。
山に登りたいけど生活も安定させたいということなら、
山登りを仕事にするしかないですね。
ずばり、山岳ガイドになるのが一番いいのでは?
ブログの読者がお客さんになってくれるかもしれませんよ。

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