突然ですが、ワタクシはいい年してアルバイトです。
正社員になると、生活は安定しますがお休みが取りにくくなります。
もおすけは、山に登る為に移住をしたので今はとにかく休みが欲しい。
お給料は少なくても、山に登る時間が欲しい。
でも、いつまでも不安定な生活でもいけない。
おっと、ご挨拶を忘れていました。皆様おぱようございます、おさるのもおすけです。
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う~ん、これはどうしたものか。
信州に来て、初めてうっすら悩んだこの時(ようやく今頃)、
携帯を掴む。
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トゥルルルル、トゥルルルル、カチッ。
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も:『あ、もしもしさぶちゃん!?あのさぁ実はカクカクシカジカでさぁ…』
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と、事の顛末を話すとさぶちゃん、
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さ:『え??今頃そんなこと悩んでるの?
俺はてっきり神戸の家を捨てた時点で、冒険的な人生を選んだと思ってたよ。』
も:『いやいや生活・心身共にフツーに安定させたいよ。
ただそれ以上に山に登りたいから移住しただけだもん。』
さ:『なら、優先順位を決めなきゃだな。山メインの人生か、安定か。』
も:『そんなの一番に山だよ。で次に安定だけど、どっちも欲しい。』
さ:『そんなに うまくはいかないだろー。』
も:『なんでよ、プロのクライマー目指すわけじゃなし。
両方手にしてる人だって沢山いるじゃん。』
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そうだけどさぁ、とさぶちゃん。
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チッチッチッチッチッ、ピーーン!
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も:『あッ!いい事思いついた! さぶちゃん、もおすけと養子縁組して♪』
さ:『・・・それのどこがいい事なんだよ。 』
も:『だってさ、そしたら一応基盤は安定するし(老後の心配とかも減りそうだし)、
山にも行けるもん。
あ、養子って言っても別に養わなくてもいいからね、
もおすけこっちで勝手に稼ぐから。』
さ:『…なんかビザが切れる直前の外国人みたいだな。』
も:『(爆)さぶちゃん、うまい事言うねぇ。』
さ:『でもそれって、一体俺に何の得があるんだ?』
も:『そんなの決まってんじゃん。“愉快で楽しい毎日”が送れるよ♪』
さ:『断る!』
も:『なんでだよ~ぅ。つまんないオトコだなぁ。』
さ:『そうじゃないだろっ。』
も:『いいじゃん別にさぶちゃんに迷惑掛ける訳じゃなし。
ちょこっと紙にハンコ押すだけだよ。』
さ:『…なんかオレ、軽く詐欺師に遭ってるみたいだぞ。』
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無視して話を続ける。
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も:『それにさ、入籍じゃなくて“養子縁組しました~!”なら、ブログネタでもウケるよ。』
さ:『…しろぷー、人生掛けてネタ取ってていいのか?
それにますますオレにとってのメリットが感じられない。 』
も:『そう? あ!!あるよさぶちゃん!“扶養手当”がつく!』
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ここらで、あーもういいよーーー、と匙を投げられたのは言うまでもありません。
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作戦失敗。
なので、もうしばらく不安定アルバイト生活は続きそうですが、
心おきなく山に登る為に、ココロの基盤の安定を与えて下さる素敵な殿方。
もおすけはお待ちしております。
ウフ。
で、ようやく北穂東稜・続編です。
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2012年 7月4日 快晴
4:30頃起きる。
外は快晴。布団の中からでも、そらが真っ青な事がわかる。
やたっ!
最高の天気だ!
自炊場で、いそいそモードで朝食の準備。
おにぎり・パン・お味噌汁とカフェ・オ・レを取って、出かける準備。
AM6:30.涸沢小屋出発。
最高の青空です。
いざ出発!
今年は降雪量は普通ですが、雨が少ないので解けが遅い。なので残雪多し。
きれいだー。
こんな天気の日は、山の中にいるだけで楽しい。そして暑い。
『ベンチレーションだ。』と言って、ズボンのすそをまくるさぶちゃん。
『おやびん、待ってください。』 『ほら、サッサと行くぞ。』
涸沢小屋から少し上がって、振り返ると前穂の北尾根がくっきりと見えます。
一番左の小ピークには、いつものトトロ岩もはっきりと。
そして明日は、この稜線にチャレンジするのです。
一峰が前穂高山頂。5~6のコルから上がって一峰まで行き、岳沢(上高地側)に降りる。
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も:『さぶちゃんさぶちゃん、明日あそこ行くんだってよ。ほんとにあんなとこ、行き切れるのかな。』
さ:『……。』
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明らかに岩岩ゴツゴツしているぞ。
うちらの不安をよそにおやびんは『全然問題ないよ、踏み跡ついてるし。』とか言う。
そして更に急斜を登っていると、嬉しそうに突然さぶちゃん、
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さ:『しろぷー、みてみて。“究極のベンチレーション”♪』
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とか言って、ズボンの社会の窓を開けていた。
前言撤回。
こんな人との養子縁組、絶対イヤだ。
後で気がついたが、この時もベンチレーションは開けたままだった(人として最低だ)。
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も:『…もういいオトナなんだから、いい加減にしなさい。しかも何で嬉しそうなのよ。』
さ:『だって、涼しいよー。』
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だってじゃない。
脳みそが小学生レベルである。
こんな私達を笑いながら見つつ、おやびんはサッサとおやつを食べ、ロープを出す。
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お:『ここから更に急になるから、一応ロープで繋いどくわ。』
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その一言で私達はハーネスを出し、ロープを結びつける。
さぶちゃんにとっては、初のロープ。
そして休憩終了。
再び出発。
よし、行くぞ。
お腹にロープをくくりつけた私達は、やっぱりイヌ状態。
バウバウ。
おやびん、どこまでも着いて行きますぜ。
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そしていよいよアイゼンを外し、北穂の東稜・通称『ゴジラの背』に向かって
取り付いていきます。
毎度のことながら、おやびんは速いし危ないからカメラを出す機会少なし。
最後尾のさぶちゃん。
さすがに慎重です。
さすがのオイラもベンチレーション閉めました。
ぐんぐん進む。
とにかく目の前の岩を、一つ一つ超えていくのに必死なピヨコ隊。
おやびんのカメラより。
後ろの岩場を乗り越えてやってきました。
安全な岩を探して登るのに必死で、撮られてる事にも気づかぬピヨコ隊。
目の前の岩以外、見る余裕ナシ。
ようやく核心部・ゴジラの背には、まだ雪がついていた。
両側は切れている。
でもここをスタスタとノーアイゼンで行くおやびん。
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お:『この位、普通に行けるよ早く来いよ。』
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普通って。
ちょっと滑ったらひとたまりもないよ。
ロープで繋いでても、一人が落ちればもう一人も引きずられるけど
おやびん二人も引っ張れるの?
滑り落ちてぶら下がったら、そこからどうして立ち上がって登るの?こんな斜面。
アイゼンなしの夏靴は、怖かった。
へっぴり腰の私をおやびんは笑うが、笑われたっていい。
怖いもんは怖い。
写真は少ないが、それなりに緊張が続く道でした(あ、続くから少ないのか)。
ようやくゴジラの背を越えて、小休止。
ちょっとさぶちゃん、核心部の写真撮るからどいてよ。
ぶぅ。オイラ邪魔扱い。
じゃあ写るんなら、カッコイイ顔してよ。
フンだ やーだね、っと。
ええぃ邪魔だ どっかにどかんか、と狭い岩場でさぶをどかしてようやく念願の一枚。
尖った先端から降りる時が怖かった。あとノーアイゼンの雪の上も。
伸ばしたロープを束ねるおやびん。
せっかく面白くなってきたとこで小屋に着いちゃうんだよなぁ。
ここからもう少しで、北穂小屋。
ようやくホッとできたので、景色を再び堪能しました。
いやー、ほんと今日は最高の天気っすね。
おー。南アルプスまでくっきりと見えるぞ。
そして、さぶ越しに明日挑戦する前穂北尾根を望む。
明日もやるぞ!(天気良ければ頑張れます)。
ここからは、さくさくと上がり来た穂小屋のテラス下に到着します。
回り込んで、無事小屋に到着。
こうして東稜は、楽しくちょっぴり怖く、無事に登り切ったのでした。
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